仮面うつ病は軽症うつ病とほぼ同定義とされています。
軽症うつ病と同定義なのに、何故わざわざ「仮面うつ病」という名前が付いているのでしょうか。

まるで仮面をつけているようだから

仮面うつ病はまず身体症状が現れます。身体症状が前面に出ることによって、うつ病の症状が隠れてしまっているものを「仮面うつ病」と呼びます。
これは身体症状に覆われたうつ病という意味で、カナダのクラール医師が1958年に名付けたといわれています。
クラール医師は勿論精神科医で、精神疾患の専門家が「仮面を覆っているようだ」と称したほどに、仮面うつ病は一見してうつ病とは分かり難い病気です。
うつ病になった本人は勿論、医師ですら仮面うつ病であると診断するのが難しいです。
それは身体症状に現れ、所謂うつ病の症状が隠れているからだけではありません。
仮面うつ病の症状は、他の病気によく似ているために間違えられやすいのです。

仮面うつ病と似ている病気

仮面うつ病には全身症状と局所的症状の二つがあります。
全身症状は睡眠障害や倦怠感、局所的症状では最も症状が現れやすいのが胃腸で、吐き気や腹痛、便秘や胸やけという症状が現れることがあります。
この症状が続くと、慢性胃炎や過敏性腸症候群などの胃腸の病気として診断されてしまいます。
お他にもめまいや耳鳴りの症状が続き、メニエール病と診断されることもあります。
メニエール病は内耳や三半規管が水膨れの状態になっていることが原因でめまい、耳鳴りといった症状が起こるもので、うつ病が原因で発症したにも関わらずうつ病が原因だと気が付かれない場合が多いです。
最も似ている、誤解されやすい病気としては自律神経失調が上げられるのではないでしょうか。
自律神経失調症の症状ではめまい、動機息切れ、手足のしびれというものがあります。
その上、自立神経失調症の症状も「本人にしか分からない」という特徴を備えているため、仮面うつ病ではなく自律神経失調症だろうと診断されてしまうケースがあります。

専門家も診断し難い

他の病気と診断されてしまうくらいに、仮面うつ病はその名の通りにうつ病を他の病気で覆い隠してしまいます。
身体的症状から、まず内科や神経科などに受診をするでしょう。
医者は専門家ですが、それぞれの分野に特化しています。
なので、内科や神経科の医師が精神疾患を診断することはできません。
勿論もしかして、と思うことはありますが、診断ができないのは致し方がないといえます。
ですが精神科医は精神疾患を専門としており、その分野に特化し、学び、実行し、多くの患者さんを診てきました。
その専門家ですら、仮面うつ病を診断するのは難しいのです。
クラール医師が「仮面を覆っているよう」と称し、この病気に仮面うつ病という名称を付けたのも理解できます。